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4、2起動 どうしても ...
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力一は家に来て、今日で三日目だ、紫さんの話では、三刀家が二日前にここに来ているはずだが、今だに、この町は穏やかなままだ。俺は毎日お茶を啜って、力一の居る家を眺めていた。
力一はこの家に来てから、相変わらず無口、無表情だが、何か傍に居させるだけで、癒される気がする、彼を見て嬉しい、彼が居ると思うと感動したくなる。そういう知らない自分と向き合うのか、さっぱり分からない。だけど、毎日浮かれていることは自分でさえ自覚している。
「和紀様、例の件だが、今日もこの町に不審人物が現れません」と小野塚が報告してきた。それでは可笑しい、いくら事情があって、あの三刀家が三日でここへ辿り着かないことはないはずだ、それなら…
「出すぎた真似と思いますが、御堂紫様はご自身がおとりになってくださったことも考えられ。」と小野塚が気づかせてくれた。
そうだ、浮かれてそれさえ考えなかったと反省した。待ってよ、それなら、力一は一緒じゃないことが直ぐにばれる、追手がこっちに戻ってくるに違いない。俺が何暢気にしているのか、何か彼を守りたいのよ。危うく紫さんの努力を無駄にさせるところだった。
「その可能性が大きい、今から何か手がありますか?」
小野塚は俺が小さい時から仕えて来た使用人だ、彼のことを友とも、師とも慕ってきた、だから力一のことは彼にだけ教えてある、そして、彼も全力で力一のことを守ろうとしてくれている。
「えー、もし追手がここに戻ってきたなら、雨宮家も手出しできないと思います。何せ力一様は三刀家の人間なんですから」
「そうですね、でも今迂闊に彼を他の場所へ連れていくことも却って危険だし、どうしよう」あまりの情けさに自分でさえ恥ずかしくなった、それじゃ普通の餓鬼と何のかわりがない、どうやって力一を守れる。
「和紀様、落ち込まないでください、三刀家の追手はまだ戻ってきてませんし、もしかして、御堂紫様が何か計画があるかもしれません。少なくとも、今夜のところは大丈夫ですから、先にお休みになられたらどうですか?」
「そうだな、紫さんがきっと何か手を打ってある、でなければ、何の忠告もなしに力一から離れたりしない。そうでなくても、力一を危険な場所に置いたりしないさあ」紫さん、今日のところは甘えさせてください。明日からちゃんとするから。
布団に入ってもう2時間が経つ。少し外の風に当たってくるかと思って、庭に出た。
そこに、月の光に照らされた力一がいた、白い長襦袢一枚を羽織った彼はあまりにも清楚で、掴めなくて、月から参りきったお姫様に見えた。彼に声を掛けようとしたが、驚かして、逃げられそうで、声を出せずに、ただ黙って彼のことを見つめていた。
ふいに、彼はこっちに振り向いて、「和紀」と呼んでくれた。俺はよりによって乙女心に、彼は背中に羽根がついている神聖な天使と見とれてしまった。時間がそのまま止まってくれてほしい。
「和紀」天使はまた俺の名を呼んでくれた。えー、何か心配そうな顔した天使だ、何てだなあ。
「和紀」
ああ!「力一」やっと我に返った。
「和紀様」小野塚の声だ、どうしてこんな夜中に、「和紀様、探しました。今、御堂紫様が…」と小野塚は息をきらせながら、こっちに走ってきた。
「分かった、彼女は今どごで」力一に一緒に来ないと目で聞いてから、俺は小野塚と部屋へ戻った。
部屋に黒ずくめ女性を目にした、闇に潜めるためだろうが、何だか、異常に妖しげな美しさに俺はぞっとした。
「雨宮様、お久しぶりでございます。」あまりにも普通に挨拶するもので、俺が拍子抜けになった。
「まさか、わざわざ挨拶しにきたと思わなかったぜ。こんな真夜中に」と皮肉に返した。
「ここ三日、あまり雨宮様の動きが見えなかったもので、もしかして雨宮様は約束を忘れているのではないかと心配になって、様子を伺いに来ました、町に入ったとたんに、直ぐにここへ案内されることから、安心しました。」
「男には二言がない、一度した約束はなんとしても、果たす主義だぜ、俺は」と紫さんを見つめる「それに、俺を信用しないなら、力一を連れていいだぜ、試されるのはあまりすきではないんだ、俺」
「二度としませんから、どうかお許しください。」と紫さんが俺に深く詫びをする。「あの子、力一は言霊を使う力がないんです。」
「えっ」俺の驚きを構わずに、紫さんが続けた「前に追手が来た時に、三刀家の人間がそう言い残って、去っていたが、直ぐにまた追ってきた、その時に、智勝さんが力一を逃がすために、体を張ってくれた。」
「力一に言霊を使う力がなければ、三刀家が追ってくるわけがないはずだ、智勝智勝さんが彼の力を隠したことがばれた可能性がないか」
「えー、私もそう思って、何回試したことがありました、あの子は確かにその力はありませんわ。」
待ってよ、俺は紫さんに一番聞きたいことはまだ聞いてないぜ、紫さんに一番聞きたいことは…
「追手は今どこにいる」
「ああ、もう直ぐこっちに来ると思いますわ。」
「なにー」
「和紀様、三刀家の方々がいらっしゃいました。」
「どういうことだ、小野塚。今夜は大丈夫だって」
「申し訳ございません、和紀様。彼らは御堂紫様を守って町に入ったように勘違いした私が油断しすぎました。」
「お前のせいじゃない」俺は紫さんを睨みつけ
「どうしても知りたいの、あの子を三刀家に返したら教えてくれるって」好奇心旺盛な子供なように残酷な言葉を口にする紫さんを後に、俺は待合室へ向かった。