《『テニプリ夢向け』正直者の憂鬱と野良犬の恩返し》_若君

1、あらすじ

　　靴と木製地面が擦れ鋭い音を立つ、飛び散る汗はポタと地面に零れ落ちる、滑る地面にぼやける人影を映り出す、広いジムにはバスケコード一つだけは使い中状態のため、音がしたら微かな反響を聞こえる。

　　コードの上に走り回すのが、女子しかいない。

　　その中の一人はパス待の間に自分の靴ひもが解いたのを気づいた、激し運動したばかりの彼女は頭を下げて手を膝に当たる、息継ぎしながら解いたままの靴ひもを見つめる、その使い古したバスケットシューズには汗と垢で薄汚れている、彼女はもはや疲労状態だ、汗が額から瞼に伝う、最後は垂れるまつ毛の端から落ちる。

　　「戌養！！」

　　突然、『戌養』と呼ばれる女子は何かでパっと驚かされたように気がついて、遠くから監督の姿であり、口を大きく開いて自分に向かって叫んている、同時に耳元に刃物で皿を掻くような鋭いノイズと虫の絶え間ない騒々しい鳴き声に襲われた、軟骨に沿う耳の粘膜を犯していく。

　　「なにっ…」と声を出す暇もなくバスケットボールが直線で自分へ撃つ、眩しい橙色が痛いほどに戌養の目に刺さる、慌ててボールを受け止め運んでいく、自分がなにをするべきかもわからずに、モザイクのようにぼんやりする景色がどんどん目の中に詰め込み、耳元に襲う鋭いノイズも止めるように見えない、心臓の音が激しく意識を叩くのに、正体不明の疲労がどんどん四肢を絡ませる。

　　実感がしない全てが、どんどん白く染まっている、最後は後頭部の奥からのノイズだけが残っていた。

　　ヴヴヴヴヴ——————————

　　「どし……ろ、起きろ！おい！！」
　　「うっ！」

　　ふと見開いたら目の前にしたのは雨まみれのローファー、本能的に頭をあげると、一瞬、心臓の声がまるで花咲くのように大きくなる。

　　世界がまるで閉めた劇場のように、夢の中に襲ってくるノイズと正反対に――サイレント。

　　目の前にいるのはある青年が手を膝に当たる自分を見つめている、チョコレート色の肌に、髪が残っていないため深める目の凹みも、シェイプな鼻の形も、色も形も薄い唇も障害なくはっきり見える。周りのアジア人と明らかに違う顔立ちで、すこしヨーロッパとラテン両方の雰囲気を混じってすこし奇妙だった。

　　だがそれより、戌養はただ彼の目をぼんやりと見つめる。

　　ディープな黒色をする琥珀のなかに埋める細かく砕けた黄金は星屑のように世界からの光を反射する同時に、戌養の疲れる顔をうつる。
　　彼は若干困っている様子で、まるで道端にいるスラムを見てた反応のようだ。

　　だが戌養はいま生まれたばかりの雛みたいに、視線が青年に釘付ける。

　　「気が付いたか、おまえ顔色悪いぞ。」
　　「あっ、え……あ、あはは、す…すいません……」

　　戌養は慌てて地面から体を起こし立ちて、青年に感謝を伝えようとした：「んぁ、起こしてくれてありが……がぁ、あ、あくしゅんー！」
　　「あ、まさか風邪ひいたのか？」

　　フードの下のミディアム丈の髪が雨に濡らして、ダブダブと体を包むパーカーもそんなに厚みがない、覚めたばかりの上で風邪をひいたため、声が少々掠れて、変声期中の男の子みたいに聞こえる。

　　なにせコンビニの自動ドアのそばに、ガラスに凭れたまま寝ていたし、早春のしっとりとした寒気と湿気だけではなく、雨も降っている。
　　コンビニに風評被害の報いだろうか、当たり前のように風邪ひいた。

　　「うん、たぶんそうっスね……今日はついてるな、いい人に会えたっスよ…つまらなくて座ってスマホでもいじっていようとけｋ……は、はくしゅんー！！」
　　「やれやれ…ほら、これやるよ。」

　　青年は手にあるビニル袋から熱々の缶コーヒを持ち出して、戌養に突き出した、彼女は首を傾げると、青年の意図を察して慌ててあの缶コーヒを受け止めた。
　　戌養が手を伸ばして缶コーヒを貰おうとした時、青年は小さな声で戸惑うを伝える擬声語を口に出した、戌養も目を見開いて青年の手を観察する、自分の手はもう普通の女子よりも細長いだが、その青年の手はもう一回り大き。
　　肌と同じくチョコ色の手のひらに厚いタコ、缶コーヒーを持ち上がる時に少しだけ彼の骨ばった指を触れていた、冷たい指先まで硬い。

　　「ありがｔ……」

　　礼を言おうとしたら、コンビニから身長が明らかにあの褐色青年より低い二人が出てきて、親しく青年の肩を組む。

　　先に口を開くのはクセが強い黒髪が生えてる青年、外見から見てすこし後輩の感じがする。

　　「えっ、ジャッカル先輩なにしてるんっすか？」
　　「あっ、赤也！いや、さっきこいつがコンビニの前に寝てたから、起こそうとしただけだ。」

　　と、赤也と呼ばれる青年の続きにもう一人の赤髪の青年も戌養をけなす：「おいおい、マジかよ。こんな天気に外で寝るとかぜてぇ風邪引くだろぃ？平気かよおい。」

　　貶される戌養はただおざなり気味でただわらう：「あははは、いやー本当にコンビニ前に寝るべきじゃなっかたっスよ。」
　　「おう、二度とこんなところに寝るなよ。と、ジャッカルもう行こうぜぃー」

　　と言って、ジャッカルと呼ばれる青年がその二人に連れて行かれた、しばらくの時間彼女はひたすら缶コーヒーで自分の冷たい手を暖める、いつか行動を取ろうかを考え始める、今の彼女のなかにある衝動を駆ける――この人をもう一度会えないと、でなければきっと一生後悔するのだと直感が自分にそう伝えている。

　　一目惚れか？吊り橋効果か？それとも、ただ捨てられた犬が新しい飼い主に会えた感謝の情けか。
　　佇立したまま、戌養は冷たい小雨のなかで熱すぎる掌が火傷しまいそうな時まで考えていた。

作者有话说

　　一目惚れかな？