晋江文学城
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6、6 ...

  •   泣き疲れて眠りついた葵を不承不承腕から離すと、宗聖はシャワーを浴び着替えた。
      1件電話をして、葵が目覚めるのをじっと待つ。

      夜7時、葵はやっと目覚めた。泣きながら寝入ったから目がはれている。悲しそうに微笑む葵を抱きしめ、瞼にキスを送るとバスルームに追いやった。

      葵が着替える間、宗聖はいつも1階で待った。葵が恥ずかしがって着替えができなそうにしているから。

      葵が日曜日ごとに宗聖の家で過ごすようになってから、少しずつ台所が賑やかになっていた。台風で外に出られなくなったとき、葵がご飯を作ると言い出したのだ。
      きっとものすごい勇気を振り絞って言ったのに違いない。どこかで遠慮している葵は、宗聖の生活に踏み込むことを恐れてもいる。
      宗聖は葵の戸惑いを感じて、夕食に連れ出すようにしていた。

      過去にこの家で台所に立った女性はいない。
      そんなことを自嘲気味に思い浮かべながら、葵がシャワーから出てくるのを待った。

      葵は秋らしい装い、エンジ色のツインニットにベージュのロングスカートで現れた。

      「支度できたか?」
      「はい。」
      「じゃあ行こう。」

      宗聖はそれ以上の説明をせず葵を連れ出す。葵も週末の荷物を持ち宗聖の車に乗った。

      連れて行かれたのは、遠山健介の店。日曜日は休業日のはずなのに・・・。

      「健さん。すみません。」
      「いいさ。ちょうど俺らもご飯にしようと思っていたところだから。」
      葵と宗聖はカウンターではなく奥にある小さな個室に入った。4人用の掘りごたつがある部屋は、居心地の良い空間の筈だった。
      部屋に落ち着くと間もなく、遠山自慢の雑炊が2つ運ばれてきた。持ってきたのはアンナ。
      「はい葵ちゃん。葵ちゃんには野菜ときのこの雑炊。消化にいいから。で、こっちは宗ちゃん。私のレシピ魚介リゾット風よ。」
      「アンナ、料理できたの?」
      「当たり前でしょう。」
      「ありがとう。」
      宗聖は優しい暖かな微笑をアンナに向けると、仕切りの障子戸を閉じた。
      「食べよう、お腹すいただろう。健さんに頼んでスペシャルメニューを準備してもらったから。」
      「今日、お休みだったのでは・・・。」
      「そう、でも時々俺も来てご飯を一緒にしたりしてるし、今日は葵と一緒だから、二人きりにしてもらった。」

      「すみません。」
      「いいから。食べて・・・。」

      葵は何かを心につかえさせたまま食事をした。何よりも休日なのに作ってくれた健介さんに申し訳ないと思い、できるだけ食べようとつとめた。

      しばらく無言で食事をしたあと、葵がこれ以上は食べられないと諦めかけたころ、宗聖も箸をおいた。

      「葵・・・話しておきたいことがある・・・」
      葵は宗聖のその言葉を聞いた途端に、なぜか胸のつかえが取れた。
      何故? まだ何も聞いていないのに・・・。

      「俺は・・・。」
      話し出そうとした宗聖を葵は止めた。聞いてはいけないことのように感じたから。
      「宗聖さん・・・。」
      葵の言葉に宗聖が一瞬戸惑う。
      「なに?」
      「私・・・無理に聞かなくても・・・」
      「葵・・・。」
      「話しにくい事なのですよね? いつか自然に言葉が出るまで聞かなくても・・・。」
      「・・・」
      「私は・・・子供だから・・・わからないことばかりで・・・だから・・。」
      宗聖にはそれで充分だった。

      テーブル越しに葵の手を引き寄せ、その手の平に口付ける。
      「葵・・・うれしいけど・・・。」
      宗聖が葵の手を包みこむ
      「でも話しておくことにする。」
      「はい・・・。」

      「先日の熱海の報道は知ってるね?」
      「はい。」
      「俺は、あの報道の関係者だ。しかも最も裏側の・・・。」

      宗聖の話は熱海の海藤組のことだった。

      数日前に新聞をにぎわせた記事は葵も見知ってはいた。その記事の中に書かれていた海藤組のことも、はるか彼方の事として文字を追っただけの記憶。
      だが宗聖が熱海の出身で、しかも取り沙汰されている海藤の組織により近い存在であることはあまりにも意外だった。宗聖は自分のことだけに話を留めた。万が一にも葵が危険な目にあう可能性があるなどとはもちろん言えなかった。

      葵は、やくざと聞いて怖気づいた。宗聖が構成員ではないことはわかるが、最も血の濃い身内が幹部である以上、他人として逃げられない立場にいることもわかった。
      宗聖は兄が中枢の幹部だと告げた。次期総帥だとは言えなかったのだ。そして父親もそこの幹部だったこと。養子縁組の話が自分にもあったことなど・・・家族にまつわる部分だけを話した。

      海藤組の説明をうつむいたまま黙って聞いている葵を、宗聖はやりきれない思いで見ていた。
      葵は今、何を感じているだろう?怖いか?俺が恐ろしいか? いつか兄と同じ道に入るのではと思っているのか? ただ、葵にはかけ離れた世界であることは確かなはず。
      本当なら、一生関わることの無いはずの世界。俺がそれを壊した。

      「葵、止めるか?」俺との付き合いを・・・暗に含ませた。
      「・・・」無言の葵は小さくうずくまる。
      「今ならお前を自由にしてやれる。」
      「・・・」

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